UXデザインつまりユーザー体験をデザインすることは、ユーザーが商品やサービスと関わる過程で体験する出来事を設計することです。つまり、ひと続きになっているストーリーを描くことなのです。
あなたはナラティブアークまたはストーリーアークという言葉をご存知でしょうか。
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ナラティブアークとは
ナラティブは、
日本語で【語り】という意味で、
語りとは、順序立てて話し聞かせること。「ナラティブ(narrative)」とも言う。筋・話・場面の進行を説明・解説すること、物語、話題、話の種など。
普通に使われているナレーションとかナレーターという言葉も、ナラティブから来ています。
アークは、
【円弧】で、
円の一部、弓なりの形状のことです。
つまり、「ナラティブアーク」とは物語の時系列の流れや構造・形のことを指します。
「ストーリーアーク」とも呼ばれます。
日本語に無理矢理訳すと「物語弧」とか「物語篇」でしょうか。
このアークは、物語の中の出来事、つまりプロットの中の出来事の連続で構成されていることを、視覚的に表したものです。
それぞれの物語には始まり、中間、そして終わり、つまり第一幕、第二幕、第三幕がなければなりません。
これは古代ギリシャ人が物語を書き始めて以来、物語の指針となってきたもので、
あなたが文章を書いているか動画を作っているかサービスをデザインしているかに関わらず、
そこに流れがある限り当てはまります。
最初から最後までオーディエンスを魅了し、
満足のいく結末を迎えるためには、良いナラティブアークが必要です。
ナラティブアークとプロットの違い
物語を作る上で「プロット」という言葉が使われますが、
プロットが物語を構成する個々の出来事で構成されているのに対し、ナラティブアークはそれらの出来事がひと続きになったものです。
物語のそれぞれのシーンが付箋に描かれているのをイメージしてみてください。たくさん集まった付箋の山全体がプロットで、それらを順番に並べたものがナラティブアークです。
プロットが物語の骨格なら、ナラティブアークは背骨
プロットを首尾一貫した順番に慎重に並べ変えることで、オーディエンスを満足させたり混乱させたりできるナラティブアークをデザインできます。
プロットが物語の骨格であるならば、ナラティブアークは背骨です。物語の最初から最後まで、プロットの進行を示す中心的な線です。
図のX軸は時間をあらわし、Y軸は行動をあらわします。つまり、図が示しているのは、簡単に言えば、次のようなことです。
物語は時間の経過とともに上昇し、同時に興奮も高まっていき、頂点に達するまで上昇する。その後、下降していき徐々に減速してゆっくりとゴールにたどり着く。
そう、まるでジェットコースターです。ジェットコースターってピラミッドのような形をしていますよね。
フライタークのピラミッド
1863年、19世紀ドイツの作家・歴史家のグスタフ・フライタークは、物語のプロットに共通するパターンを研究するためにピラミッドを用いました。
彼は、すべてのストーリーアークは5つの劇的な段階を経るという考えを提唱しました。
その5つとは、
【状況説明】【事件発生】【クライマックス】【落とし込み】【目的達成】
です。
フライタークのナラティブアークの5つの段階とは?
フライタークのピラミッドは、多くの物語の構造を明らかにする便利なツールです。
状況説明(ユーザーの生活している現場)
導入部である「状況説明」は、ストーリーアークの第一幕です。
物語を始め、登場人物を登場させ、対立の種を用意し、読者が物語の中で何が起こっているのかを把握できるように、十分な背景情報を提供するのです。
ここでは、読者があなたの物語の説明から他に何を引き出すことができるかを簡単に説明します。
登場人物
登場人物の中には誰がいるのか?どのようにそれらの間で区別することができますか?
設定
あなたの物語の舞台はどこですか?また、設定には時間も含まれています。どの時代ですか?
雰囲気。
説明の中で、どのように小説のトーンを設定しますか?異星人の侵略によって突然ロマンスが展開されると、読者を混乱させ、あなたの本のジャンル分類を曇らせることになります。
状況説明にどれだけ時間を使うかは、様々です。
この段階では、日常で全てがうまくいっている世界です。
進撃の巨人でいうと、壁の中で人類が安全に暮らしている世界です。
事件発生(サービスを使うきっかけ)
扇動的な出来事とは、物語の世界で何かがおかしくなる瞬間のことです。
その時点で、物語の主人公はその間違いを正すためにある意味の旅に出て、物語の残りの部分はそれがどのように展開するかを見ながら過ごします。
進撃の巨人では、ある日突然、超大型巨人が現れて壁を破壊され、母親を失った主人公のエレンが巨人を駆逐することを決意します。
登場人物の関係性を深めながら、登場人物を成長させる。葛藤をエスカレートさせ、緊張感を高める。
このステージでの状況の変化に、登場人物たちがどのように反応するかで、その人たちのことが伝えられるのです。
刺激的な出来事が起こった直後に最もエキサイティングなことが起こり、それ以外の部分が平坦なままになるのではなく、ストーリーテラーは、プロットがどんどん面白くなっていくにつれて、期待感と興奮を高めていくのです。
どんな良い物語でも、アクションが盛り上がっている間には、観客の興味を引きつけるための摩擦があります。
摩擦がなければ、エンディングは簡単に終わってしまい、観客は納得できないか、退屈してしまうか、その両方になってしまいます。
物語は摩擦が最大になる瞬間、つまり危機の瞬間で幕を閉じます。それは、「もう後戻りできない地点」です。何か本当に悪いことが起こり、物語は自分自身を正すか、終わらせなければなりません。
進撃の巨人では、調査兵団が王政に対して革命を起こす場面ですね。
クライマックス(解決方法の提案)
クライマックスはナラティブアークの頂点にあるプロットです。
物語の中で最もエキサイティングな部分であり、何かクールなことが起こるポイントで、世界は再びすべてうまくいくかもしれないと私たちに気づかせてくれます。
進撃の巨人で、クリスタが女王になる場面です。
収束(行動)
アクションはペースを落とし始めます。物語はこうやって終わりに近づいていきます。なぜなら、普通はクライマックスで終わらせることはできないからです。あえてそうするのはクリフハンガーと呼ばれている特殊なケースであることを覚えておいてください。
【クリフハンガー】
クリフハンガー(英:cliffhanger または cliffhanger ending)とは作劇手法の一つで、劇中で盛り上がる場面、例えば主人公の絶体絶命のシーンや、新展開をみせる場面などを迎えた段階で結末を示さないまま物語を終了とすることである。
海外ドラマ「ゲームオブスローンズ」では、壊れゆくキングスランディングで、ジョン・スノウがデナーリスをビタースイートし七王国を統一した場面からですね。(ネタバレ注意…)
目的達成(課題解決)
文字通り、これが終わりです。
ここから続編が生まれることもありますが、一応ひと続きの物語が完結します。
長い物語だと、大きなプロットの中に小さなプロットがあり、ミニアークがあるという形も多いですね。
ユーザーエクスペリエンスやプロダクトデザインの世界では、「ひと続きの物語」のためにデザインすることは、長期的なエンゲージメントやリピートに取り組むための素晴らしい方法です。
フライタークのピラミッドはすべての物語で通用するのか?
歴史には傾向に逆らった小説もあります。あえて読者の期待を壊すことは常に悪いことではありませんが、期待されていたコースからうまく脱線するには、従来のストーリーアークを包括的に理解している必要があります。結局のところ、構築できないものを壊すことはできません。
フライタークのピラミッドの人気のある5幕構造は、3幕構造として使用されている場合もあります。
その場合、
第一幕では、シーンを設定し、登場人物、設定、対立の種を観客に紹介します。
第二幕では、登場人物たちは葛藤や状況に応じて成長し、変化していきます。彼らは大きな問題を解決しようとします。通常、紛争はクライマックスに向かってエスカレートしていきます。
第三幕では、登場人物たちが大きな問題を解決し、物語は終わります。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスによって、「ギリシアの悲劇」でこの3幕構造は使われました。
ナラティブアークとキャラクターアーク
ナラティブアークが物語にとっての道すじであるように、キャラクターアークはそれぞれのキャラクターにとっての道すじです。
ナラティブアークが外面であるのに対し、キャラクターアークは内面を描いたものであり、それぞれのキャラクターは個々のアークを通過することになります。
それは壮大なスケールでプロットに関与しており、キャラクターアークはプロットの過程でキャラクターの内面的な旅路を描いています。
それでも、ナラティブアークとキャラクターアークは共生関係の一部です。ナラティブアークの各プロットポイントは、あなたのキャラクターを彼らの目標や願望に近づけたり、近づけなかったりするはずです。あなたのキャラクターが直面する状況や葛藤もアークの一部ですが、キャラクターがどのように課題に直面し、その結果として変化していくかは、キャラクターアークの領域です。
UXデザインで作る3つのストーリー
コンセプトストーリー
オリジンストーリー
ユーセージストーリー
オリジンストーリーとはカスタマージャーニーマップに近いです
言う政治ストーリーはプロトタイピング、UIデザインで作ることができます